219. 2025/10/12 2025年ノーベル物理学賞、巨視的量子効果の発見で3氏受賞
内容紹介
kokorokagamiとtoudenの2人で、チームラボ京都に国内最大アートミュージアム開館、ChatGPT内で直接使えるアプリ機能が登場 など について話しました。
出演者
以下のようなトピックについて話をしました。
01. チームラボ京都に国内最大アートミュージアム開館
チームラボが2025年10月7日、京都駅東南部エリアに国内最大規模の新常設アートミュージアム「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」をオープンする。
この施設では、身体ごと没入できるインタラクティブなアート体験を提供し、新作や日本未公開作品を含む50以上の作品群を展示する。注目作品として、空間を漂う泡を浮遊する彫刻に見立てた《質量も形もない彫刻》や、人の触れ方によって光と闇が呼応する《質量のない太陽と闇の太陽》などがある。また、数十万の鳥の群れが巨大な存在のように見える《鳥道》や、人々の歩いた痕跡が作品と一体化する《痕跡》など、存在の神秘性を問うアート空間も展開される。
さらに、体を動かして楽しむ創造的運動空間「運動の森」も併設。球体が敷き詰められた《あおむしハウスの高速回転跳ね球》では、カラフルなドット柄の球体が人の接近で回転を止め、弾力のある感触で飛び跳ねて楽しめる。このミュージアムは、人の存在や認識を問いかける体験型アートの新たな拠点として、幻想的で没入感のある空間を創出する。
02. ChatGPT内で直接使えるアプリ機能が登場
OpenAIが「Apps in ChatGPT」という新機能を発表しました。これは、ChatGPT内で直接使用できる新世代のアプリケーションシステムです。
主な特徴 ユーザーは「Spotify、パーティー用のプレイリストを作って」のように自然言語でアプリを呼び出すことができ、ChatGPTが適切なタイミングでアプリを提案します。アプリはチャット内で直接動作し、地図やプレイリストなどのインタラクティブな要素を提供します。
利用可能なアプリ 初期パートナーとして、Booking.com、Canva、Coursera、Expedia、Figma、Spotify、Zillowの7つのアプリが利用可能です。これらのアプリを使って宿泊予約、デザイン作成、学習、音楽配信、不動産検索などが可能になります。
開発環境 開発者向けには「Apps SDK」がプレビュー版として提供され、MCPを基盤としたオープンソースの開発環境が利用できます。開発者は独自のインターフェースとチャットロジックを設計し、既存の顧客サービスと連携できます。
安全性とプライバシー すべてのアプリはOpenAIの利用ポリシーを遵守し、最小限のデータ収集と透明性の確保が求められます。ユーザーは初回接続時にデータ共有について確認できます。
今年後半には企業向けリリースとアプリディレクトリの開設、収益化機能の詳細発表が予定されており、ChatGPTの機能拡張が大幅に進展する見込みです。
03. Google CloudがGemini Enterprise発表
Google CloudのCEO Thomas Kurianが、職場AI変革の新たな入口となる「Gemini Enterprise」を発表しました。
Gemini Enterpriseの特徴 従来のAIが部門ごとに孤立していた課題を解決し、組織全体を横断的に連携させる包括的プラットフォームです。6つの中核コンポーネントを統合:最先端のGeminiモデル、ノーコードワークベンチ、事前構築済みエージェント群、企業データとの安全な接続、統合ガバナンスフレームワーク、10万社超のパートナーエコシステム。
具体的な成果 Banco BVでは分析業務が自動化され、マネージャーが新規ビジネス獲得により集中できるようになりました。Commerzbankは200万件以上のチャットに対応し、全問い合わせの70%を解決。メルカリはカスタマーサービス担当者の業務量を20%削減し、500%のROIを予測しています。
新機能の発表 Google Workspaceに初のマルチモーダルエージェントを統合。Google Vidsでは月間250万人が利用し、Google Meetではリアルタイム音声翻訳を提供。新しいデータサイエンスエージェントや次世代対話型エージェントも発表されました。
開発者支援とエコシステム 100万人以上の開発者がGemini CLIを活用。Agent2Agent Protocol(A2A)やAgent Payments Protocol(AP2)などのオープンスタンダードを業界と共同開発し、エージェントエコノミーの基盤を構築しています。
Google Cloudは完全なAI最適化スタックを提供し、真のビジネス変革を実現する唯一のパートナーとして位置づけています。
04. 新型ロケット燃料の安定合成に成功
ニューヨーク州立大学オールバニ校の研究チームが、固体燃料ロケットの新しい燃料候補「二ホウ化マンガン」の安定合成に成功しました。この物質は長年燃料候補として注目されていましたが、合成が困難で実用化が阻まれていました。
二ホウ化マンガンは、ホウ素の六角形シート間にマンガン原子が挟まれた構造を持ち、わずかな歪みによって大量のエネルギーを蓄えています。現在広く使用されているアルミニウム粉末と比較して、体積当たり148%、重量当たり26%もエネルギー効率が優れています。
研究チームは、アーク放電により3000℃以上の高温を1分以内という短時間で加え、その後9℃まで急冷する手法を開発しました。この方法により、マンガンの蒸発と物質の分解を最小限に抑え、純粋な二ホウ化マンガンの合成に成功しました。
特筆すべきは、高いエネルギー密度を持ちながら優れた安全性を兼ね備えていることです。火で直接炙っても燃焼せず、湿度の高い環境でも2週間以上酸化しません。これは燃料の取り扱いや保管において重要な特性です。
興味深いことに、この発見は偶然から始まりました。研究者らが硬質材料の合成実験中にマンガンホウ化物が鮮やかなオレンジ色に輝くのを目撃し、その潜在エネルギーに気づいたことがきっかけでした。この成果により、より効率的で安全なロケット燃料の実用化への道筋が開かれました。
05. JAXA、実証衛星9機をElectronロケットに変更
JAXAは2025年10月10日、革新的衛星技術実証4号機として予定されていた9機の衛星について、当初のイプシロンSロケットから米企業Rocket LabのElectronロケットに変更し、2025年度内に打ち上げると発表しました。
この実証プログラムは、大学・研究機関・民間企業が開発した技術の宇宙実証機会を提供する4回目の取り組みです。小型実証衛星4号機(RAISE-4)には8つの部品・機器が搭載され、さらに8機の超小型衛星が含まれています。搭載技術には、水推進システム、AI物体検知機、折り紙アンテナ、地震検知システムなど多様な革新技術が含まれています。
変更の背景には、イプシロンSロケットの開発遅延があります。2023年7月と2024年11月の地上燃焼試験で2回の爆発が発生し、原因究明が続いているため、2025年10月時点でも打ち上げ目処が立っていません。JAXAの調査により、打ち上げが2026年度以降になると実証の意義・価値に影響が出ることが判明したため、2025年度内の打ち上げを堅守する決断がなされました。
Electronロケットの搭載能力の違いにより、打ち上げは2回に分割されます。小型実証衛星4号機は2025年11月25日~12月24日、8機の超小型衛星は2026年1月~3月に打ち上げ予定で、各衛星は10月14日以降にニュージーランドの発射場に輸送される計画です。
06. ひまわり9号観測障害で8号に切り替え
ひまわり9号観測障害と衛星運用体制について
令和7年10月12日午前0時30分頃から、静止気象衛星「ひまわり9号」に観測障害が発生し、全ての衛星画像提供が停止している。この障害により気象庁ホームページの気象衛星コンテンツが更新されず、台風や火山灰監視の一部に影響が生じているが、警報・注意報の発表には支障がない状況だ。
現在、待機中の「ひまわり8号」による観測への切り替え作業が進められている。ひまわり8号・9号は2機体制で運用されており、2022年12月からひまわり9号が観測運用、ひまわり8号が待機運用を担当していた。両衛星は東経140.7度付近のほぼ同じ軌道位置に配置され、一方に不具合が生じた際の迅速な切り替えを可能にしている。
ひまわり8号は2015年から、ひまわり9号は2017年から運用を開始し、最先端の放射計(AHI)を搭載した新世代静止気象衛星として国際的にも注目されている。この2機体制により2030年度まで継続的な観測運用が計画されており、今回のような障害時でも運用中断を最小限に抑える設計となっている。
07. 2025年ノーベル物理学賞、巨視的量子効果の発見で3氏受賞
2025年ノーベル物理学賞は、ジョン・クラーク、ミシェル・H・デヴォレ、ジョン・M・マルティニスの3氏に「電気回路における巨視的な量子力学的トンネル効果とエネルギーの量子化の発見」で授与されました。
量子力学誕生から100年目の節目となる2025年、この研究は量子力学的現象がマクロな世界でも起こることを実証した画期的な成果です。従来、トンネル効果は原子レベルのミクロな世界でのみ観察されていましたが、3氏は1cm程度の超伝導回路を用いて、数十億個のクーパー対による巨視的トンネル効果を実験的に証明しました。
実験では、超伝導体間に絶縁体を挟んだジョセフソン接合を含む回路を絶対零度近くまで冷却し、徹底的にノイズを除去。その結果、理論予測と一致する巨視的トンネル効果を観測し、さらにエネルギーの量子化もマクロスケールで実証しました。
この研究は量子コンピューター実現への道筋を示した重要な成果でもあります。実際、受賞者の一人マルティニス氏は後にGoogleの量子コンピューター開発を主導し、2019年に量子超越性を達成しました。また、量子センサーや量子力学の基礎検証実験にも応用されています。
量子力学100周年にふさわしく、この研究は「量子現象は適切な環境下では大きさに関係なく発生する」ことを示し、量子技術の実用化に向けた重要な基盤を築いた歴史的な業績といえます。
本ラジオはあくまで個人の見解であり現実のいかなる団体を代表するものではありません
ご理解頂ますようよろしくおねがいします
 kokorokagami
                  kokorokagami
                 touden
                  touden