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ADR-0015: 役割分担を「AI置き換え」の3分類から機能段階と関与の下限による記述へ改める

採用(2026-08-06)

フェーズ3の「ロール別『AI置き換え / AI支援 / 人が担保』整理」は 2026-07-11 の作成以降、一度も更新されていなかった。分類の妥当性には疑義があったが、フェーズ4以降の整備が優先され、フェーズ3の分類は当時のまま残された。

その結果、同一サイト内に矛盾が生じた。

記述箇所 内容
フェーズ3 「テストコード生成」を AI置き換え(人は結果確認のみ)に分類
第5章 5.8.4 実装とテストを同一の AI に同一の文脈で書かせてはならない。R1 では人間が受入基準を事前定義する
第5章 5.8.1 AI の出力は未検証の入力であり、決定論的な検証を経て初めて成果物になる

調査の結果、矛盾は1つのセルの誤配置ではなく、枠組みの次元数の違いであった。フェーズ3は作業の性質だけで分類を決め、フェーズ4は作業の性質とリスク区分の組合せで決めている。

加えて、人と機械の得手不得手を並べて役割を割り振る方式そのものへの批判が 2002年に提示されている。「人が不得意なことを機械へ差し替えても仕事の他の性質は変わらない」という前提は成立せず、自動化は人間の作業を変形させ、指示・文脈供給・検証・回復という新しい作業を生む。

さらに 1983年の知見として、自動化が進むほど人間に残る仕事の難易度が上がり、訓練を減らすのでなく増やす必要に迫られることが知られている。旧版はこの含意を一切扱っていなかった。

  1. 「AI置き換え」という呼称を廃止する。結果責任の所在を曖昧にし、作業が消えるという誤った含意を持つ
  2. 作業を4つの機能段階(情報の取得・情報の分析・判断と選択・実行)へ分解する。作業名と分類の1対1の対応をやめる。これにより「テストの作成」は、実行は AI・判断と選択は人間、と矛盾なく表現できる
  3. 分類の語彙を第5章の AI自律レベル L1〜L3 へ一本化する。フェーズ3独自の分類記号を設けない。同じ語彙を用いることで、両者の記述が構造的に食い違わなくなる
  4. 出力を「実際の分担」ではなく「人間の関与の下限」とする。能力が上がっても記述が壊れにくい形式にする
  5. 分担を決める条件を4つとする。判定器の存在、判定器の独立性、判定の帯域、責任の所在。独立性と帯域は新設である
  6. 「可逆性」を判断基準から外す。リスク区分 R1〜R3 が既に定義しており、二重管理になる
  7. 自動化の逆説を明記する節を新設する。技能の減退、監視作業への変質、訓練の増加、残る仕事の難化の4点
  8. フェーズ3は記述、フェーズ4は規範に徹する。フェーズ3は規範と閾値を書かず、規定側へリンクする
  9. 見直しの手続を2層で規定する。作業一覧は四半期、判断基準は年次。加えて臨時の見直し契機を列挙する
  10. 予測を書かない。「今後1年で〜になる」という記述を置かず、代わりに見直しの契機と手順を書く。見直しの結果は確認・改正・廃止の3つから選び、「確認」も明示的な決定として記録する
  • セルを移動するだけ(テストコード生成を AI支援へ移す) — 変更量は最小だが、枠組みの次元数の違いが残るため、次の改訂で同じ矛盾が再発する
  • 3分類を残し、列名だけを改める(AI主導・機械検証 / AI提案・人間決定 / 人間主導・AI補助) — 改訂量が小さく3列構造を維持できるが、記号を持たないためフェーズ4との対応づけが文章に依存し続ける
  • 新しい記号(A1〜A3 等)を導入する — 本標準は既に L / E / R / CL の4系統を持ち、5系統目は読者の負担が過大である
  • 外部の分類(人間の関与の5段階など)をそのまま借用する — 番号の向きが本標準の L1〜L3 と逆のものがあり、混同事故を招く。参照枠としての引用に留める
  • 表そのものを廃止する — 得手不得手を並べる表は批判されて久しいが、入門者に見取り図を与える価値は否定できない。廃止ではなく、誤った含意を持たない形へ書き換える
  • phase3-gap-analysis/role-mapping.md を全面的に改訂した。ページのタイトルを「ロール別の作業分担と人間の関与の下限」へ変更した(スラッグは変更していないため外部リンクは維持される)
  • phase3-gap-analysis/overview.md の「ロールの置き換え vs 支援」を「ロールの作業分担」へ改めた
  • phase3-gap-analysis/summary.md と vision/03-tool-concept.md の参照を更新した
  • フェーズ3からフェーズ4への明示的なリンクを新設した。旧版には規定側への参照が一切なく、これが矛盾を検出できなかった原因である
  • ページ冒頭に時点の注記を置いた
  • 決定3 により、フェーズ3の読者は L1〜L3 の定義を第5章で確認する必要が生じる。フェーズ3単独では完結しなくなるが、矛盾の再発防止を優先した
  • 決定9 の見直し手続は本ページにのみ規定した。他の時点依存のページへ同じ手続を広げるかは、調査層の棚卸しで扱う
  • 調査根拠は research/phase3-gap-analysis/135-role-boundary-2026-08.md に記録した
  • 未確認事項として、機能段階の4分類をソフトウェア開発へ適用した先行例を発見できていない。本標準による独自の適用である