ADR-0049: 適用範囲の判定の単位を4つに拡張し、検出の語彙を閉じた集合に保つ
採用(2026-08-14)
コンテキスト
Section titled “コンテキスト”ADR-0039で作った適用範囲の仕組みが、初回適用案件へ届いていませんでした(#239)。
案件は第5章 5.7.3(選択肢の比較)を適用範囲を確かめずに全体へ適用し、判定者に不要な記入を課したうえで、成立していた判定を「成立していない」と申告しました。
当該条項には既に注記が付いていました。### 5.7.3 選択肢の比較(適用: R1 の決定・例外承認)。仕組みは正しく動いていました。
検出が2件しか拾えていなかった
Section titled “検出が2件しか拾えていなかった”check-scope.mjs の限定表現の検出は R1 / CL0 形式に閉じていました。次の限定は対象外です。
| 条項 | 限定表現 |
|---|---|
| G-5 基準4 | 仕様変更を含む PR の場合 |
| G-6 基準3 | (コア機能のみ) |
| 附属書F | 安全関連ソフトウェアのみ |
| B-3 設計審査会 | S2 スケール、または安全・法規制の対象となる機能 |
最後の1件は案件でも効いていました。設計審査会が S1 で適用外となる事実を、案件は標準本文を直接読んで初めて知りました。
判定の単位が2つでは足りない
Section titled “判定の単位が2つでは足りない”ADR-0039 決定4 は、リスク区分(変更ごと)と安全重要度(案件ごと)の2つを定めました。事業ステージとコア指定が、どちらにも当てはまりません。
事業ステージを案件ごとの単位として扱うと、テーラリングの宣言が案件の全期間へ凍結されます。「本案件は S1 なので独立レビューをコア機能に限る」という宣言が成立するのは S1 の間だけです。S2 への移行で自動的に失効しなければなりません。
1. 判定の単位を4つとする
Section titled “1. 判定の単位を4つとする”| 単位 | 条件の例 | 案件単位で適用外にできるか | 判定の時期 |
|---|---|---|---|
| 案件ごと | 安全重要度、チーム規模、開発形態 | できる | 案件の開始時 |
| ステージごと | 事業ステージ | できない | ステージ移行ごと(SG-n) |
| 機能ごと | コア指定、安全・法規制の対象 | できない | 機能仕様の承認時(G-4) |
| 変更ごと | リスク区分 | できない | 変更ごと |
ADR-0039 の本文は書き換えません。同 ADR 決定4 が R について定めた「案件の属性から変更ごとの適用外を導いてはならない」という論理を、時間軸(ステージ)と対象軸(機能)へ拡張します。
2. 検出の語彙を、閉じた集合に保つ
Section titled “2. 検出の語彙を、閉じた集合に保つ”限定表現の検出へ加えるのは、決定1 の単位に対応する語彙だけです。
R1〜R3 / CL0〜CL3 / S0〜S2 / コア機能 / 安全関連ソフトウェア「〜のみ」「〜を含む場合」といった一般表現による拡張は採りません。
理由は誤検出の質にあります。「〜のみ」は技術文書で頻出し、その大半は適用範囲の限定ではありません。40ページ超について1件ずつ「これは適用範囲か、単なる説明か」を判断させると、除外の登録が検査を通すためだけの作業になります。
ADR-0039 決定2 は「登録そのものを判断の記録とする」と定めました。判断の記録が数百件に達したとき、それは記録ではなく雑音です。
語彙を閉じた集合に保つことで、誤検出の総量が予測可能になります。
3. 会議体の適用条件を、見出しへ併記する
Section titled “3. 会議体の適用条件を、見出しへ併記する”B-3 設計審査会の見出しへ (適用: S2 スケール、または安全・法規制の対象となる機能) を併記しました。適用条件を表の1行へ置いたままにしません。
4. テーラリングの表そのものは、注記の対象としない
Section titled “4. テーラリングの表そのものは、注記の対象としない”第8章の軸の表は、それ自体が適用範囲を定義する表です。その行へ注記を付けると入れ子になります。表の存在が適用範囲の宣言である節は、除外へ理由付きで登録します。
検討した選択肢
Section titled “検討した選択肢”| 案 | 却下の理由 |
|---|---|
| 一般表現(「〜のみ」等)まで検出を広げる | 誤検出が支配的になり、除外の登録が雑音化する。ADR-0039 決定2 の意図が壊れる |
| 判定の単位を2つのまま、ステージを案件ごとへ含める | テーラリングの宣言が案件の全期間へ凍結される。ステージ移行で失効しない |
| 検出を広げず、注記の追加だけを行う | どの節に注記が要るかを、人が40ページから探すことになる |
| 何もしない | 案件が標準本文を全部読まないかぎり適用範囲を知れない。#226 の再発 |
- 判定の単位が4つになり、台帳の表示も4値になる
- 語彙の拡張により12件の新規検出が生じ、うち12件を除外へ登録した。適用範囲の限定として注記へ移したものは無い
- 除外が12件に対し、注記が2件である。この比は、検出の条件が広すぎることを示唆しうる
- 一般表現による限定は、引き続き検出されない。この限界は解消しない