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調査フレームワーク(共通テンプレート)

フェーズ1の各プロセス調査(ウォーターフォール、アジャイル、スクラム、TDD、イベント駆動、DDD、SDD、AIDLC)は、すべてこのフレームワークに従って記述します。同じ観点で書くことで、8つのプロセスを横断比較できるようにするのが目的です。

プロセス記述の国際標準 ISO/IEC/IEEE 24774:2021 が定める6要素を骨格に採用します。ただし国際標準は「ロール」と「ゲート(決裁)」の記述が弱く、この2つこそ日本企業の実態調査で最重要の観点です。そこで SPEM 2.0(OMG)から Role を、Stage-Gate 法から Gate を補い、「6+2要素」 を本プロジェクトの記述単位とします。

graph TD
  subgraph 方法知識["方法の記述(SPEM 由来)"]
    R["Role<br>(誰が)"] -->|実行| T["Task<br>(何をする)"]
    T -->|入出力| W["Information Item<br>(成果物・文書)"]
  end
  subgraph 構造["プロセス構造(24774 の6要素)"]
    P["Process<br>(title / purpose / outcomes)"] --> A["Activity"] --> T
  end
  W -->|Deliverables として持ち込み| G{"Gate<br>(誰がどの基準で通すか)"}
  G -->|"Go / Kill / Hold / Recycle"| NEXT["次のフェーズへ"]
# 要素 由来 記述ルール
1 title(題名) 24774 プロセスのスコープを表す短い名詞句
2 purpose(目的) 24774 プロセスを実施する目標。簡潔に
3 outcomes(成果) 24774 成功時に期待される観察可能な結果。成果物の産出と区別する
4 activities(アクティビティ) 24774 成果を達成するための行為のまとまり。階層構造の中段
5 tasks(タスク) 24774 各アクティビティ内の具体的な作業。要求・推奨・許容の別を意識する
6 information items(情報項目) 24774 入出力となる文書・成果物(要件定義書、設計書、バックログなど)
7 roles(ロール) SPEM 2.0 誰がタスクの実行責任を持つか。兼務の実態も記述する(1人1役を仮定しない)
8 gates(ゲート) Stage-Gate / JIS Z 8115 節目の審査。Deliverables(持ち込む成果物)/ Criteria(判定基準)/ 判定者 / 判定結果の種類の4点で記述する

7つの調査観点は、6+2要素に次のとおり対応します。

調査観点 記述先の要素
ロールモデル roles
組織的役割 roles + gates の判定者(部門横断の参加構造)
DR・決裁ゲート gates
マイルストーン成果物 information items(gates の Deliverables と紐づけ)
レビュープロセス activities / tasks(レビューを作業として記述)+ gates
品質基準 outcomes + gates の Criteria
階層構造 process → activities → tasks の3階層

階層構造と図解様式(3ズームレベル)

Section titled “階層構造と図解様式(3ズームレベル)”

プロセスは3つのズームレベルで整理し、図のノードをクリックすると下位レベルのページへ移動できるようにします(表現ポリシーは ADR-0006)。1図あたりのノードは15個前後を上限とし、超える場合は分割します。

ズームレベル 内容 図解様式
L1: 全体マップ フェーズの流れとゲート配置 graph LR + ゲートは菱形ノード + click で L2 へ
L2: フェーズ内ワークフロー アクティビティの連なりとロールの関与 sequenceDiagram(ロール間)or graph LR + click で L3 へ
L3: 個別作業 タスクの手順・判断分岐 flowchart

各レベルのページは「図(構造)+ 平易な解説(なぜ・何のため)+ 原典対照(出典付き引用)」の3点セットで構成します。難解な原典定義は「平易な言い換え → 原典引用」の対で示します。

なお、プロセスの公開データは共通 YAML スキーマから生成する方針です(ADR-0007。スキーマ v0 はウォーターフォール+スクラムの2プロセスで検証してから展開)。

日本的観点の補強(標準がカバーしない領域)

Section titled “日本的観点の補強(標準がカバーしない領域)”

国際標準に対応概念がないため、各調査で独自に必ず確認する観点です。

  • 稟議・多段決裁: 職位階層(担当 → 課長 → 部長 → 役員)に沿った承認や合議の有無。Stage-Gate のゲートキーパーが「リソースを出せる者」と定義されるのとの対比
  • 品質保証部門による組織上独立した検証: 独立部門が合否の署名権を持つ構造の有無
  • 受発注構造とレビューの二重性: レビューが品質活動と契約上の検収を兼ねるか(SIer 構造)
  • 建前と実運用の乖離: 規定上のプロセスと現場の実態を必ず分けて記述する(例: DR の形骸化)
  • ロールの兼務: ロールと人の多対多の対応関係

フェーズ1の最後に作る横断比較表は、次の軸で統一します。

軸 内容
主要ロール 定義されるロールと責任の所在
ゲート構造 ゲートの数・位置・判定者・判定基準
主要成果物 各フェーズの information items
レビュー方式 誰が・何を・どの形式で検証するか
階層の深さ プロセス分解の粒度
12207 対応 ISO/IEC/IEEE 12207:2017 の4プロセス群(合意 / 組織 / テクニカルマネジメント / テクニカル)のどこを厚くカバーするか

スコープ外: 生成AIの現場利用実態

Section titled “スコープ外: 生成AIの現場利用実態”

フェーズ1では生成AIの利用実態は調査対象にしません。現時点の現場利用は個人の思い付きレベルの野良活用が主で、調査しても根拠・実績の不足した「個人の理想論」しか集まらないためです。生成AIの組み込みはフェーズ2(理想形)とフェーズ3(ギャップ分析)で扱います。

スクラムの「スプリントレビュー」を 6+2要素で書いた例です。

要素 記述
title スプリントレビュー
purpose スプリントの成果を検査し、今後の進め方とプロダクトバックログを調整する
outcomes インクリメントの状態が利害関係者と共有されている / バックログが更新されている
activities 成果のデモ → フィードバック収集 → バックログ調整
tasks (activities をさらに分解して記述)
information items インクリメント、プロダクトバックログ
roles スクラムチーム全員 + 利害関係者(検査の主体)
gates 正式なゲートではない(Go/Kill 判定を持たない検査イベント)。この「ゲートを置かない」こと自体を記録する
  1. 一次調査メモは research/phase1/TEMPLATE.md を複製して作成する(このテンプレートが 6+2要素と対応)
  2. すべての記述に出典を付ける。一次情報(原典・公式ガイド・規格)を最優先とする
  3. 清書時は図解ファーストに変換する(research-to-docs ワークフロー)