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附属書G(参考) 決裁制度への提示

本附属書は、ADR-0032の決定に基づき、既存の決裁制度へ本標準の成果物を提示する作法を示します。本附属書は参考です(第1章 1.5)。提示の形式は組織の決裁制度に依存するため、本附属書の記述は適合の条件に数えません。提示に掛かる要求事項(出所を持たない項目を加えない、企画書を書き換えない、上限値を提示に用いない)の正本は、第6章「決裁制度への提示」です。

本標準は、既存の稟議と決裁権限規程を用います。出荷判定は、席・判定者・時点を変えません。したがって稟議書そのものは組織の様式であり、本標準は関与しません。

経営層の手続には、改める点があります。リリース決裁(G-8)で、事業決裁者は出荷判定者の異議の欄を読み、保証の開示に載った残存リスクの受容を記名します。出荷判定者の署名の意味も改めるため、出荷判定の規程の改定を要します。正本は第4章 G-7・G-8、既存制度への変更点は附属書Dです。本附属書が扱うのは、企画と投資の決裁へ出す資料の作法であり、この変更を含みません。

一方で、事業決裁者を読者に挙げている成果物はテンプレ6 企画書の1件のみです。その様式は9つの節と5つの表からなり、1枚に収まりません。

そこで、既存成果物から必要な項目を取り出して1枚に並べます。新しい様式を作りません。

graph LR
  A["企画書(テンプレ6)"] --> P["経営層サマリ<br>(投影・正本ではない)"]
  B["D-0 体制図(テンプレ0)"] --> P
  C["予算の4区分(7.7.1)"] --> P
  P --> R["稟議書<br>(組織の様式)"]
  A -.判定の対象は正本のまま.-> G["G-1 / SG の判定"]

投影が満たすべき条件は3点です。

# 条件 欠いた場合に起きること
1 すべての項目に、既存成果物の出所が対応している 投影が第2の正本になり、更新の追随が切れる
2 新しい記述を書かせない 投影のためだけの作文が生まれる
3 判定の対象にしない 判定の記録と提示の資料が混ざり、監査で追えなくなる

次の8項目で構成します。出所を持たない項目は加えません(第6章「決裁制度への提示」の規定1)。

提示する欄 出所
誰の何が変わるか 企画書 観点3 受益者と価値
今は何で代替しているか 企画書 観点2 の「現在の代替手段」
なぜ自社か 企画書 観点2 自社が勝てる理由
いくらかかるか 7.7.1 予算の4区分(期間・要員・AI実行・基盤)
いつ何が確かめられるか 企画書 観点4 の「期待効果(短期)」
効果の幅 企画書 観点4 の「期待効果(長期)」
止める条件 企画書 観点6 中止条件
誰が決めるか D-0 表1 決定の権限

投影に含めない項目は次のとおりです。理由はADR-0031決定6 および ADR-0032 によります。

  • 市場規模、市場成長率
  • 到達の経路(チャネル)
  • 課金モデル、収益の構成
  • 投資回収期間、損益分岐点

企画書の6観点は書く順です。財務を最初に置かないのは、初期の選別に財務基準を用いる構成が成果を下げるという調査結果によります。

一方、決裁の場で読まれる順序はこれと異なります。書く順序を変えずに、提示の順序だけを変えます。

提示の順 欄 対応する観点
1 誰の何が変わるか 観点3
2 今は何で代替しているか 観点2
3 いくらかかるか 7.7.1
4 いつ何が確かめられるか 観点4
5 効果の幅 観点4
6 なぜ自社か 観点2
7 止める条件 観点6
8 誰が決めるか D-0 表1

止める条件を最後から2番目に置きます。冒頭に置くと案件の否定として読まれ、末尾に置くと読まれません。

決裁制度が単一の金額または回収期間の提示を要求する場合の作法です。

# 作法
1 稟議書へ記載する数値は、期待効果の幅の下限値を用いる
2 上限値を提示に用いない(第6章「決裁制度への提示」の規定4)
3 数値には、算定根拠と効果が出ない条件を併記する。数値のみを提示しない(同 規定5)
4 幅の出所(企画書の版)を明記する

需要予測の検証では、過大な見積りが系統的に生じています。上限値の提示は、その偏りを制度として追認します。

下限値で決裁が通らない案件は、下限値で通らないという事実そのものが判断の材料です。数値を上げて通すのではなく、通らない理由を記録します。

なぜ数値の提示を禁じないのか

Section titled “なぜ数値の提示を禁じないのか”

数値の提示そのものを禁じると、決裁制度が数値を要求する組織では、標準の外で数字が作られます。統制の外に資料が生まれる状態は、規定された形式で数値を出す状態より悪くなります。

規定の正本は、第6章「決裁制度への提示」です。本項は、理由を添えた一覧です。

# 行わないこと 理由
1 投影を正本として保管する 正本が2つになり、更新の追随が切れる
2 投影だけを見てゲートを判定する 判定の入力は正本である。投影は判定の材料を欠く
3 投影に、出所を持たない項目を加える 投影のためだけの作文が生まれる
4 投影を根拠に企画書の記述を削る 読みやすさのために判定の材料を削る取り引きになる
5 上限値を稟議へ提示する G.4 のとおり

本節は形式の作法であり、投影へ新しい項目を加えるものではありません(ADR-0032決定2)。いずれも G.2 の8項目の出し方を述べます。

# 作法 出所
1 冒頭に、何を承認してほしいかを1行で置く D-0 表1 決定の権限
2 「誰の何が変わるか」を、受益者ごとに分けて提示する 企画書 観点3
3 構造を持つ項目(体制・費用の区分・工程)は図で提示する。文字の羅列で置き換えない D-0 体制図、第7章 7.7.1 の4区分
4 プロダクトを一言で表す1文を、観点3 の記述から取り出して冒頭に置く 企画書 観点3

作法3の理由は、AI 協調型開発に固有です。成果物の多くがテキストで生成されるため、その形式のまま決裁へ持ち込みやすくなります。構造を持つ項目を文字の羅列で提示すると、決裁者は構造を自分で復元することになります。

本節は提示の形式を指定するものであり、遵守を求める範囲を超えます(G.1 の宣言のとおり)。決裁制度の様式は組織ごとに異なります。