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ADR-0051: 使いやすさ・学びやすさを判定基準とせず、価値と受入基準の対応だけを見る

採用(2026-08-14)

初回適用案件の受入基準86件のうち、利用者が用途に気づくことを扱ったものは0件でした(#246)。

案件が中核の差だと主張していた利用者向けの操作面についても、受入基準は0件でした。企画書はその部分を「UI 装飾」と位置づけていました。

需要側の一次調査は、導入しない理由の首位として同じ結論へ収束していました。

出典 首位近辺の理由
総務省 令和7年版 情報通信白書 使い方がわからない 38.6%(日本)。米 26.0% / 独 18.7%
IPA『DX動向2025』 効果やリスクの理解が不足 48.6%、誤った回答を信じて利用してしまう 40.5%

律速は機能の不足ではなく、利用者が用途を思いつかないこと、および出力を信じてよいか判断できないことでした。

標準が扱うべきかは自明でない

Section titled “標準が扱うべきかは自明でない”

EARS 記法の受入基準は「条件 + 期待動作」の形を求めます。これは機械が検証できる形であって、人が用途に気づける形ではありません。この2つは独立です。

一方で、開発プロセスの標準が使いやすさを判定基準にすると、標準が製品の良し悪しを判定し始めます。本標準は5.7.4で記述の質の機械判定を禁じ、ADR-0014 決定9 で成熟度ラベルを出さないと決めています。製品の評価は、この標準の役割ではありません。

会議体で帰属を確かめた結果です。

事象 帰属
受入基準86件に該当が0件 案件側の仕様設計。標準は受入基準の内容を規定しない
中核の差だと主張した部分の受入基準が0件 案件側。価値仮説に根拠を付けずに進んだ結果
「見て気づけるか」を問う工程が標準に無い 標準の落ち度ではない

1. 使いやすさ・学びやすさを判定基準としない

Section titled “1. 使いやすさ・学びやすさを判定基準としない”

成果物が使いやすいか、利用者が用途に気づけるかを、いずれのゲートでも判定しません。

「書かれていない」のではなく、扱わないと決めました。

理由は2つです。第一に、判定できません。使いやすさの判定は評価者の主観に依存し、5.7.4 が禁じた記述の質の判定と同じ構造になります。第二に、扱うと標準が製品の良し悪しを判定することになります。本標準が扱うのは、判断が実質的に行われたことの確認です。

2. 価値と受入基準の対応だけを G-2 で見る

Section titled “2. 価値と受入基準の対応だけを G-2 で見る”

企画書 観点3(受益者と価値)に書いた価値のうち、受入基準へ対応するものが1件も無い項目が残っていないかを確認します。

受入基準の内容そのものは判定しません。対応の有無だけを見ます。判定できるのは、対応が存在するかどうかだけです。

この確認は新しい判定基準ではなく、G-2 基準1 の確認方法への追加です。判定の総数を増やしません。

3. 案件が使いやすさを扱う場合、受入基準の側へ書く

Section titled “3. 案件が使いやすさを扱う場合、受入基準の側へ書く”

案件が使いやすさを重要と判断する場合、それを企画書の観点3 へ価値として書き、対応する受入基準を置きます。決定2 の確認は、その対応の有無を見ます。

標準は、何を価値とするかを指定しません。指定するのは、価値として書いたものに受入基準が対応しているかだけです。

案 却下の理由
使用性の判定基準をゲートへ追加する 判定が評価者の主観に依存する。5.7.4 が禁じた構造と同じになる
受入基準の類型に「発見可能性」を必須で加える 受入基準の内容を標準が規定することになる。案件ごとに価値は異なる
SG-1 の「受入部門が要求を自らの言葉で再構成できている」を機能単位へ降ろす 対象が受入部門であって受益者ではない。粒度もステージ全体であり、降ろすと別の要求になる
何も書かない(現状) 「書かれていない」のか「扱わないと決めた」のかが読み取れない
  • 使いやすさは、いずれのゲートでも判定されない
  • 価値として書いたものに受入基準が対応しているかは、G-2 で見る
  • 利用者が用途に気づけるかは、本標準では担保されない。この限界は解消しない
  • 案件が使用性を扱う場合の経路は、企画書の観点3 と受入基準である