プロセス体系
フェーズ1で調査した既存の開発プロセスの一覧です。各プロセスは共通スキーマ(ADR-0007)で記述され、全体マップ(第1階層)からフェーズ(第2階層)、個別作業(第3階層)へクリックで掘り下げられます(ADR-0006)。
プロセスは粒度が異なります。ウォーターフォールやスクラムは「開発の全工程」を扱うライフサイクルですが、TDD や DDD は開発者レベルの技法・設計手法です。同じ土俵で比べないよう、粒度で分類しています。
ライフサイクルプロセス
開発の全工程を通した進め方
- AIDLC(AI-Driven Development Life Cycle) — AIエージェントが計画・要件・コード・テスト・インフラ構成の生成をライフサイクル全段でオーケストレーションし、人間は各要所で検証・承認・重要判断を担う、AIを中心に据え直した開発方法論(AWS が2025年に提唱)
- ウォーターフォール開発プロセス(日本の SIer 標準形) — 要件定義から受入まで工程を一方向に直列に並べ、各工程末の完了判定(レビュー・審査)を通過してから次工程へ進む開発プロセスモデル
- スクラム(Scrum) — 複雑な問題に対し、固定長の反復(スプリント)ごとに「検査と適応」を繰り返して価値あるプロダクトを届ける軽量フレームワーク
価値観・原則の傘
個別手法を束ねる考え方
- アジャイル(Agile) — 4つの価値と12の原則からなる「価値体系」。この価値観を共有する複数の軽量開発手法(スクラム・XP・カンバン等)の総称として使われる傘概念
実務プラクティス
開発者レベルの技法
- テスト駆動開発(TDD) — 失敗するテストを先に書き(Red)、通す最小限のコードを書き(Green)、重複を除去して設計を整える(Refactor)短いサイクルを反復してコードを育てる開発技法
- 仕様駆動開発(SDD, Spec-Driven Development) — 自然言語(主に Markdown)で書いた仕様書を AI コーディングエージェントへの唯一の信頼できる情報源として与え、AI がそこからコードを生成する開発手法。「vibe coding」への対抗概念として2025年に注目された
設計手法
設計の進め方・考え方
- イベント駆動(Event-Driven Architecture / イベント駆動開発) — システム内で起きた「イベント(出来事をデータ化したもの)」を生産者が発行し、ブローカーを介して消費者が非同期に受信・反応することで、生産者と消費者を疎結合に保つ設計パラダイム
- ドメイン駆動設計(DDD) — ソフトウェアの中心に「業務領域の理解を写し取ったドメインモデル」を据え、ドメインエキスパートと開発者が共有する言語(ユビキタス言語)を通じてコードとして継続的に育てていく設計アプローチ
ハイブリッド開発の実態(アンチパターン)
建前と実態が乖離した現実の運用。From を直視するために記録する
- ハイブリッド開発(なんちゃってアジャイル / ウォーター・スクラム・フォール) — スクラム/アジャイルを名乗りながら、原典の設計から逸脱し価値を生まない運用形態の総称。日本企業で実際に起きている「建前はスクラム、実態は混乱」という From の実態
参考: 本プロジェクトの提案
次は本プロジェクトが設計した参照モデルであり、調査した既存プロセスではありません。性格が異なるため、上の分類には並べていません。本体はフェーズ4(本標準)の一部であり、設計の根拠は附属書Aにあります。
- ピットイン方式参照モデル — フェーズ1〜3の分析を踏まえて本プロジェクトが設計した提案プロセス。外側は日本の決裁文化と整合する事業ゲート、内側はAIと人が高速で回す協調ループの二層構造で、5つのギャップへの打ち手を構造に織り込んだ参照モデル
横断比較
調査した各プロセスを、粒度・ゲートの性格(決裁型/検査型)・ロール数などの軸で横断比較した表を用意しています。