成果物トレーサビリティと記号の索引
本ページは、フェーズ4(標準の規定)・フェーズ5(実装と移行)・フェーズ6(運用と改善)の成果物が、どこで生まれ、どこで使われるかを一覧にしたものです。あわせて、全体で用いる記号体系の索引を示します。
graph TD IN["組織の条件<br>規模・事業ステージ・品質要求<br>開発形態・安全重要度"] --> P4["フェーズ4<br>プロセス標準<br>(本文8章+附属書A〜I)"] P4 --> P5A["フェーズ5<br>実装リファレンス<br>(Git・CI・AI実行環境)"] P4 --> P5B["フェーズ5<br>社会実装計画<br>(T-0〜T-4)"] P5A --> P6["フェーズ6<br>運用・測定・改善"] P5B --> P6 P6 -->|実測値と改善の提起| P4 P4 --> KB["テーラリング知識ベース<br>(questions / rules)"] IN --> KB KB --> TOOL["プロセス提案ツール<br>調整済みプロセス+根拠"] P6 -->|適用事例| KB
規定はフェーズ4に一本化し、フェーズ5とフェーズ6はその実施と測定を担います。テーラリング知識ベースはフェーズ4の第8章を機械可読にしたものであり、独立した規定ではありません。
調査層と規範層の役割分担
Section titled “調査層と規範層の役割分担”フェーズ1〜3は調査層、フェーズ4以降は規範層です。同じ事項が両方に現れる場合、規定の正本は常に規範層にあります。
| 調査層(フェーズ1〜3) | 規範層(フェーズ4〜6) | |
|---|---|---|
| 書くこと | 観測した事実、現場の実態、理想が置く前提、その差分 | 要求事項、判定基準、閾値、様式 |
| 書かないこと | 「〜すべき」という規範、閾値 | 現場の実態の記述 |
| 時点への依存 | 技術に関する記述は高い(基準日を併記する) | 低い(見直しの契機を規定する) |
| 相互参照 | 規範層のどこで扱われたかを必ず示す | 調査層の課題認識を前提として参照する |
調査層から規範層への参照を欠かしてはなりません。参照がないと、規範層の改訂が調査層へ伝わらず、同じ体系の中で矛盾した記述が並びます。とくに調査層は作成した時点の技術的な前提に依存するため、参照を持たない記述は規定より先に古くなります。
| 調査層のページ | 規範層への対応表 |
|---|---|
| フェーズ1 総括 | 3つの発見 → 第2章・第3章・第4章 |
| 人材の入れ替えと事業フェーズの推移 | 異動の周期と予告期間 → 第2章 2.3・2.9 |
| 理想モデルの前提条件一覧 | 崩れる前提 T3・P3・O1〜O3・K1〜K3 → 第3章・第4章・第5章 |
| ロール別の作業分担 | AI自律レベル L1〜L3 → 第5章 5.4 / 5.8 |
| フェーズ3 総括 | ギャップ G1〜G5 → 第2章・第3章・第4章・第7章 |
章と成果物の対応
Section titled “章と成果物の対応”| 規定 | 主な出力 | それを入力とする先 |
|---|---|---|
| 第1章 総則 | 用語の定義、引用規格、構成 | 全章 |
| 第2章 ライフサイクル | 事業ステージ、移行ゲート、立ち上げ手順、移管ゲート、スコープ3層と進捗の観測 | 第4章、フェーズ5、フェーズ6 |
| 第3章 体制・会議体 | ロール、決裁権限、会議体、事前レビュー期間 | 第4章、事前レビュー期間の自動化 |
| 第4章 ゲートと判定基準 | 判定基準、SLA、欠陥トリアージ基準、保証の開示 | CI/CD ゲート、メトリクス、附属書H |
| 第5章 役割境界 | AI自律レベル、生成物の統制、形骸化の防止 | AI 実行環境、附属書E・F |
| 第6章 成果物 | テンプレ0〜11、安全リスクアセスメント。テンプレ11 は組織に1つの品質保証の方針と受容の基準(層1) | フェーズ5全般、附属書F・H |
| 第7章 例外 | 例外承認、エスカレーション、中止判断 | 改善サイクル |
| 第8章 テーラリング | 調整軸と調整規則 | テーラリング知識ベース |
| 附属書G 決裁制度への提示 | 経営層へ提示する1枚(既存成果物からの投影) | 組織の稟議・決裁 |
| 附属書H 品質保証の論証 | 本標準を適用した組織の保証の主張と3層の構造、主張の成立条件、主張・条項・証跡・主張の崩れを示す観測の対応、保証の開示の読み方と定型の文、対外的に使う表現 | 附属書D、プロセス内部監査、QMS 文書管理との対応 |
| 附属書I 採用判断の手引き | 採用を判断する者の18の問いへの本標準の回答(5要素)、即時保留・不採用の条件と当たらないことを示す規定。要求事項ではない | 採用者の採否の判定、附属書D |
| ピットイン方式参照モデル | 構造の機械可読表現(フェーズ・ゲート・ロール・成果物の識別子と関係) | 全章、テーラリング知識ベース、プロセス提案ツール |
| 社会実装計画 | 移行段階、判定ゲート、支援体制、教育計画 | フェーズ6 |
| メトリクス | 三識メトリクス、ゲートの健全性 | 第5章の見直し、第8章の調整 |
本標準は複数の区分体系を用います。同じ数字でも意味が異なります。
| 記号 | 意味 | 規定場所 |
|---|---|---|
| S0 / S1 / S2 | 事業ステージ(探索・価値確立・スケール) | 第2章 2.3 |
| SG-0 / SG-1 / SG-2 | ステージ移行ゲート | 第2章 2.4 |
| G-1 〜 G-8 | 工程ゲート | 第4章 |
| H-1 / H-2 / H-3 | コンテキスト移管ゲート(要員の交代) | 第2章 2.9 |
| B-1 〜 B-4 | 会議体 | 第3章 3.7 |
| D-0 | 意思決定・エスカレーション体制図 | 第6章 テンプレ0 |
| R1 / R2 / R3 | リスク区分(決定の取り消し可能性) | 第3章 3.8.1 |
| SC-M / SC-P / SC-B | スコープ3層(確約範囲 / 計画範囲 / 調整枠) | 第2章 2.10 |
| CR-n | 受入基準の識別子 | 第6章 テンプレ1 |
| L1 / L2 / L3 | AI自律レベル | 第5章 5.4 |
| E1 / E2 / E3 | AI実行形態 | AI 実行環境 |
| Sev1 / Sev2 / Sev3 | 欠陥の重大度 | 第4章 |
| Hz-nnn | 危険源の識別子 | 第6章 |
| Hs / Ex / Oc / Av | 危害のひどさ・暴露・発生確率・回避可能性 | 第6章 |
| SR1 〜 SR4 | 安全リスク区分 | 第6章 |
| RRS1 / RRS2 / RRS3 | リスク低減ステップ | 第6章 |
| T-0 〜 T-4 | 移行段階 | 社会実装計画 |
| TG-1 / TG-2 / TG-3 | 移行判定ゲート | 社会実装計画 |
| EN-1 / EN-2 / EN-3 | 移行の支援体制 | 社会実装計画 |
| A-T1 〜 A-K3 | 理想モデルの前提条件(技術・個人・組織・知識) | 前提条件一覧 |
| AC-0 / AC-1 / AC-2 | 前提の充足状態(充足 / 劣化 / 不成立) | 第7章 7.10 |
| テンプレ0 〜 テンプレ11 | 成果物の様式 | 第6章 |
| 附属書A 〜 附属書I | 背景・記法・手引き・様式・投影 | 第1章 1.5 |
| C1 〜 C11 | 品質保証の論証を構成する下位の主張(検証の主張) | 附属書H H.3 |
| 層1 / 層2 / 層3 | 組織の保証の主張を支える層(品質保証の方針と受容の基準 / 品質の約束と保証範囲 / 出荷ごとの判定と受容) | 附属書H H.3 |
| Q1 〜 Q18 | 採用を判断する者の問い(品質保証の命題と組織継続の命題)。附属書H H.9 の問いの番号とは別の体系 | 附属書I |
混同しやすい対
Section titled “混同しやすい対”| 対 | 違い |
|---|---|
| SG(ステージ移行ゲート) と G(工程ゲート) | SG は投資と移管の判断。G は成果物を次工程へ進める判断 |
| G(工程ゲート) と TG(移行判定ゲート) | G は開発の制御点。TG は組織が次の移行段階へ進めるかの判断 |
| L(AI自律レベル) と E(AI実行形態) | L は権限の広さ。E は動かし方。E3 でも R1 なら L1 に固定される |
| R(リスク区分) と SR(安全リスク区分) | R は決定の取り消し可能性。SR は危害の大きさ |
| Sev(欠陥の重大度) と Hs(危害のひどさ) | Sev は発生した欠陥の事後評価。Hs は起こりうる危害の事前見積り |
| S(事業ステージ) と 製造業の設計審査 DR1〜DR4 | 別の体系。対応表は第2章 2.3にある |
| A-T1〜A-T4(技術の前提) と T-0〜T-4(移行段階) | 別の体系。ハイフンの有無だけで区別する構成は成立しないため、前提側へ A- を冠した |
| AC(前提の充足状態) と CL(安全重要度) | AC は前提が成立しているか、CL は危害の深刻度 |
| AC(前提の充足状態) と CR(受入基準) | 別の体系。AC は前提が成立しているか、CR は個別の機能が満たすべき条件 |
| C(論証の主張) と CR(受入基準)・CL(安全重要度) | 別の体系。C1〜C11 は附属書H の中だけで使う主張の識別子であり、区分ではない |
| SC(スコープ3層) と R(リスク区分) | SC は範囲の確約度、R は決定の取り消し可能性。R1 の変更が調整枠(SC-B)に属することもある |
新しい区分を追加する場合、必ず本表を更新してください。記号が重複すると、別の概念が同じ記号で書かれ、後から改称が必要になります。改称は参照するすべての箇所へ波及します。
前提条件の連鎖
Section titled “前提条件の連鎖”ゲートの前提条件は連鎖します。上流を満たさないまま下流へ進めません。
graph LR D0["D-0 承認"] --> G1["G-1 企画承認"] SRA["安全リスクアセスメント<br>(適用条件に該当する場合)"] --> G1 G1 --> G2["G-2 要件合意"] G2 --> G4["G-4 機能仕様承認"] G4 --> G5["G-5 自動検証"] G5 --> G6["G-6 独立レビュー"] G6 --> G7["G-7 出荷判定"] SV["安全適合性の検証記録<br>(安全関連部を含む場合)"] --> G7 G7 --> G8["G-8 リリース決裁"]
未解決の事項
Section titled “未解決の事項”本標準には、外部の一次情報を入手できていない箇所があります。規制対応の文脈で引用する前に、原本での確認が必要です。
| 事項 | 状態 |
|---|---|
| ISO 12100 / JIS B 9700 の条項番号 | 公開転載に依拠。原本での逐語確認は未了 |
| ISO/IEC TR 5469:2024 の使用レベルと技術クラス | 未入手。本標準では引用していない |
| 安全状態への遷移に関する規格要求 | 調査が不十分。附属書F F.5 は最小限の集合 |
| 経営層の関与と現場の関与の相対的な重み | 実証的な優劣を示す資料を確認できていない |
| 日本企業の品質保証部門の権限構造 | 一次調査を確認できていない |
| 稟議・検収・品質保証部門との折り合いを記した国内の一次事例 | 見つかっていない(2026-09 時点)。附属書Hの問いの一覧は、会議体での想定に基づく |
| ISO 9001 の 2026 年版(2026-09-16 発行)と ISO 9000:2026 の本文 | 未確認。ISO 9000:2015 は 2026-05-27 に廃止された。附属書H H.10 は、2015 年版の公開されている目次から箇条の番号と題を引用している(箇条 5.1.1、5.2、6.1、7.2、7.5、8.3.4、8.3.6、8.4、8.5.1、8.5.2、8.5.6、8.6、8.7、9.2、9.3、10.2)。確かめたのは箇条の題までであり、要求事項の本文とは照合していない。対応を示さない箇条は H.10 に列挙している。QMS 文書管理との対応は、箇条番号を引用せず、H.10 を参照する |
| JIS Q 9027:2018 の本体、ISO/IEC/IEEE 15026 の 2025 年版の本文 | 未取得。附属書H の JIS Q 9027 の定義は、JSQC-Std 00-001:2023 付録C の対照表による。15026 は保証ケースの構造の参照にとどめ、適合を主張しない |
| 社内の受容の記録が、過失責任と開示の請求で効くかの法的な検証 | 行っていない。ADR-0057 の EV-0068 に開示している。各組織の法務部門の確認を前提とする |
| IEEE 1012 の本文(第三者検証の独立性の形態) | 未読。附属書H の記述は、公開されている航空宇宙分野の標準(2022 年)による |
| 確約範囲の上限 60% の実証的裏づけ | 存在しない。DSDM の推奨値を初期値として採った |
| IPA「情報システム・モデル取引・契約書」の検収・契約の不適合責任・第三者の権利侵害の各条項 | 検収の条項と契約不適合責任の条項は、2026-10-12 に原本(第二版 R1)で確かめた(ADR-0069)。第三者の権利侵害の条項は、原本の逐語確認が未了。未確認の条項の番号を引用してはならない |
| ライセンス検出の精度、および複製検知の検出率を測った独立の評価 | 特定できていない。本標準はどちらの数値も引用していない |
| 最高裁 平成22年7月15日判決(経営判断の原則)の原文 | 未取得。解説記事の引用による。規制対応の文脈で引用する前に原本の確認が必要 |
| コードレビューにおける手がかりの提示時期を扱った実験 | 特定できていない。レビューパッケージの提示順序は別分野の知見からの類推 |
| 確率的予測(モンテカルロ)の精度を示す査読研究 | 特定できていない。本標準では精度に関する数値を引用していない |
| 「範囲の内か外か」の意味的判定における LLM と人間の一致率 | 特定できていない |