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プロセス横断比較表

フェーズ1で調査した各プロセス(プロセス体系)を、共通スキーマのデータから自動集計した比較表です。個別の詳細は各プロセスのページを参照してください。

本プロジェクトが設計したピットイン方式参照モデルは、この比較表に含めていません。調査対象の既存プロセスと同じ表に並べると、比較の公平性が問われるためです。別表として末尾に示します。

既存プロセスの一覧比較

プロセス種別(粒度)フェーズ数ロール数ゲート数意思決定の性格
AIDLC(AI-Driven Development Life Cycle)ライフサイクル364(4決/0検)決裁(事前承認・集中)
ウォーターフォール開発プロセス(日本の SIer 標準形)ライフサイクル869(9決/0検)決裁(事前承認・集中)
スクラム(Scrum)ライフサイクル134(2決/2検)混在
アジャイル(Agile)価値観の傘131(0決/1検)検査(事後適応・分散)
テスト駆動開発(TDD)プラクティス223(0決/3検)検査(事後適応・分散)
仕様駆動開発(SDD, Spec-Driven Development)プラクティス544(4決/0検)決裁(事前承認・集中)
イベント駆動(Event-Driven Architecture / イベント駆動開発)設計手法344(0決/4検)検査(事後適応・分散)
ドメイン駆動設計(DDD)設計手法333(0決/3検)検査(事後適応・分散)
ハイブリッド開発(なんちゃってアジャイル / ウォーター・スクラム・フォール)ハイブリッド実態343(3決/0検)決裁(事前承認・集中)

ゲート数の「決」=決裁型(Go/Kill の事前承認)、「検」=検査型(検査して適応、承認を伴わない)。

軸1: 意思決定は「集中」か「分散」か

最も本質的な違いは、意思決定をフェーズ末の関門に集中させる(決裁型)か、反復のたびに分散・常時化する(検査型)かです。

  • 決裁型(事前承認・集中): ウォーターフォール、AIDLC、仕様駆動開発(SDD)、ハイブリッド開発。節目で人間が Go/Kill を判断する。日本の稟議・DR 文化と構造的に親和する
  • 検査型(事後適応・分散): スクラム、アジャイル、TDD、DDD、イベント駆動。事前に固めて承認するのではなく、作ってから検査して直す。原典は決裁ゲートを意図的に持たない

生成AI時代の SDD・AIDLC が決裁型に「回帰」している点は示唆的です。AIが高速に生成するからこそ、人間が要所で承認するゲート(Human-in-the-loop)を明示的に置く——これが「場当たり生成(vibe coding)」との分かれ目になっています。

軸2: 粒度(どの層の話か)

同じ「開発プロセス」でも扱う層が違います。ウォーターフォール・スクラム・AIDLC は開発の全工程(ライフサイクル)ですが、TDD は開発者の数分単位の技法、DDD・イベント駆動は設計手法です。比較や導入判断のときは、まず粒度を揃えて考える必要があります。

軸3: ロールは「承認者」か「協働者」か

決裁型プロセスのロールは承認者・判定者(誰が Go を出すか)を中心に定義されます。一方、DDD やイベント駆動は「ドメインエキスパートと開発者の協働関係」をロールとして定義し、承認者を置きません。この違いは、日本企業がプロセスを導入する際に「既存の職位階層・決裁権限規程」とどう噛み合うかを左右します(詳細は日本企業の組織論の整理ページで扱います)。

参考: 本プロジェクトの提案

次は本プロジェクトが設計した参照モデルであり、調査した既存プロセスではありません。上の比較表と同じ軸で集計していますが、 既存プロセスとの優劣を示すものではない点に注意してください。本体はフェーズ4(本標準)の一部であり、設計の根拠は附属書Aにあります。

参照モデルフェーズ数ロール数ゲート数意思決定の性格
ピットイン方式参照モデル51011(10決/1検)混在

この比較の使いみち

この比較軸(意思決定の集中/分散、粒度、ロールの性格)は、フェーズ3のギャップ分析で「理想(AIDLC 等)と現状(日本の決裁文化)の差分をどこで埋めるか」を考える土台になります。各プロセスの暗黙の前提条件とアンチパターンも、そのまま導入時のリスクチェックリストとして使えます。